Lindberg Air Titaniumフレームを格安価格で利用する方法として、中古品を購入して変形させる方法を紹介しました。
変形させればフレーム耐久性は落ちますし、Lindberg社としても破損時のフレーム交換に応じるのは難しいでしょう。
今回はこのあたりの制約条件を、変形フレームの歴史を踏まえて紹介させて頂くことにします。
(Lindberg Air Titaniumファンには、変形フレームに手を出した人も多いので)
眼鏡店の対応
驚いたことに、実はLindberg Air Titaniumの眼鏡フレームの変形加工を始めたのは、Lindbergメガネの正規販売代理店だったりします。
もう10年以上前のことですが、日本では人気のあるAdaniが販売終了しました。TV番組 “相棒” で、杉下右京(水島豊)が番組初期から使用し続けているメガネです。
その販売終了を惜しむ声が大きかったので、正規販売代理店がAlvisをAdaniライクに変形加工して販売するようになりました。根強いファンの要望に、眼鏡屋としては応じざるを得なかった訳です。
ただし変形をすれば耐久性が落ちるだけでなく、完全に元通りに戻すことは出来ません。だからフレーム破損が生じた場合、メーカーに部品交換を依頼することが出来ません。
それだけ耐久性が高いからこそ実現可能な技ですが、随分と思い切ったものです。ちなみにAdaniは一時的に販売再開された時期があり、もはや眼鏡店が自らフレーム変形させるような真似はしなくなりました。
眼鏡店が責任を持って破損フレームの交換を保証したかは定かではありませんが、まずは一件落着といったところでしょうか。
フレーム変形
さて眼鏡店が始めたフレーム変形というアイディアですが、これは中古フレームにも適用できます。つまり未使用のAlvisに限らず、中古品となったAir Titaniumを変形によって復活させようというアイディアです。
そして眼鏡店が実施した未使用Lindbergのフレーム変形は、よくよく考えてみると感嘆できない部分があります。なぜなら眼鏡店が入手したフレームを変形するノウハウは、Lindbergの技術者から伝えられた部分があるからです。
フレームを変形するからには、個人が自己の技量の範囲内で実施する方が望ましいでしょう。ちなみに私がフレームの変形スキルを手に入れるには、フレーム1本を完全に破断させ、数本で変形特性を分析することになりました。
そうやった苦労の末に、冒頭画像のようなLindbergフレームが完成しているのです。これは販売終了したLeoを、同じく販売終了したDagurのレンズを装着できるように変形したものです。
なんでこんなことをしたのかというと、Leoではレンズが正方形に近過ぎた為です。それで平たいレンズである長方形のDagurのように変形した訳です。
そして装着されているレンズは、Dagurのレンズそのものです。Dagurで作成したレンズを、Leoに装着した訳です。
Lindberg Air Titaniumは針金のようになっており、加工は大変です。特に耳の部分は正規販売店の技術者でさえ、ユーザーから装着後に痛みが生じたと再調整を依頼されることも多い難易度です。
私の場合はプライヤーでフレームを固定し、ペンチで耳にかかる部分を調整しました。また他のフレームで作成したレンズを別フレームに移植する場合、レンズ間の距離はもちろん、レンズマーク(蛍光灯に当てないと見えない)を平行に維持することも必要です。
なお変形させる時にはレンズの形に合うように変形する必要があります。実は圧力がかかると、相応に歪んで屈折率が変化するのがレンズです。眼鏡店の中には歪みを測定する機器を保有しているショップも存在する程です。
さらにLindberg Air Titaniumも何本も所有するというのも、なかなか変な話です。個人的にはお目当てのフレームが登場するまで中古品を探した方が効率的な気がしています。
購入者の対応
さてメーカーが苦労して作成したフレームを、必要があるとはいっても別形状に変形させてしまう訳です。当然、購入者としてはメーカーに迷惑をかけないことが望ましいです。
そこで必要となるのがフレームの自己調整能力に加えて、シリコンパッドやシリコンパイプ(耳あて部分)を調達する能力です。
国内では販売されていませんが、海外では互換品も販売されています。それを英語で購入するのです。正規販売代理店で分けて貰うということは考えるべきではないでしょう。
なぜなら正規販売代理店が保有しているシリコンパッド類は、Lindberg Air Titaniumフレーム販売のためにメーカーから提供されているものです。
変形しなければサポート対象だからシリコンパッドを貰っても構わないという見方もありますけど、やはり自分で調達した方が後味良いです。
まとめ
以上がLindbergフレームを意図的に変形させた時に生じる保証範囲の話でした。
やっぱり事情があるとは言え、新品フレームを購入するのが一番でしょう。
なお最近はLindberg Air Titaniumはadaniに限らず販売終了が続いています。Lindbergでもスペアパーツは一定量しか保有していないとのことであり、気に入ったフレームは複数本を購入しておくと良いです。
ちなみに我が家のお嬢さんもノーズ部分を破断させてしまいましたが、正規販売代理店を経由してメーカー修理して頂くことが出来ました。ただしこちらも強度的には、補修部品を継当てしたので落ちているとのことです。
車に轢かれても復活したという伝説を持つLindberg Air Titaniumですが、最近は似たようなフレームを製造するメーカーも増えて来ました。フレームメーカーも、なかなか大変な時代になって来たようです。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:四葉静